ブックタイトル70年の航跡

概要

70年の航跡

国産高級車ブームと共に平成３年９月、「豊昇丸」進水式。同年４月に亡くなった宮﨑昇の名をとって命名されたこの船は、トヨタ自動車専用運搬船として就航し、完成車800台を運搬した。自動車運搬専用の大型船を建造平成３年（1991）４月、宮﨑昇が91歳で亡くなったのを機に、二代目・宮﨑昭三の長男・昇一郎が、10年間勤務した船会社を退職して、入社した。同年12月、トヨタ自動車完成車の輸送を目的として、自動車専用運搬船「豊昇丸」（D/W4,935ﾄﾝ・完成車800台積・トヨフジ海運株式会社との共有船）を建造。トヨフジ海運株式会社へ貸渡し、名古屋～九州・関東・東北方面へ就航した。これは当時、バブル景気から起きた国産高級車ブームの恩恵ともいうべきもので、トヨタ自動車はソアラをはじめとする車の販売台数が急速に伸び、輸送船不足に対応するためトヨフジ海運株式会社からの要請で建造したものだった。まさに海運業は、商品市況の動向に大きく左右される市況産業である。26